すっかり疎くなってしまったせいか、「2000年以降のジャズ・ジャイアンツ」といわれて、パッと思いつくミュージシャンが全然いません。
ジャズギターの世界なら、ジョン・スコフィールド、マイク・スターン、パット・メセニーの御三家(←私が勝手に言ってるだけですが)が「ジャイアンツ」最後の世代でしょうが、彼らだってもう六十前後。名実ともに大御所です。タモリ・たけし・さんまの、お笑いBIG3みたいなもんでしょう。じゃあ中堅どころ、働き盛り世代でブイブイ言わせてるのは誰か?となると、80年代後半から90年代一杯にかけての御三家の存在感に匹敵するようなギタリストは、ちょっと見当たらないんじゃないでしょうか。
もちろんそれはジャズに限った話ではなくて、音楽ジャンルや音楽との接点が細分化・多様化してメインストリームが崩壊しちゃったから、だれも「ジャイアンツ」なぞ求めなくなってしまった、という、音楽産業全体の問題なんでしょうが、つまりは、決して人材がいないわけでは全くなくて、いってみれば群雄割拠のような状況なんだと思います。
というわけで、最近気になってるジャズギター戦国時代の武田信玄、上杉謙信たちをレコメンしてみますので、よかったらぜひ聴いてみてください。
リオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)
ギター界のリチャード・ボナ。
なんかアフリカってこのレベルがごろごろいそうで怖い。
アレッシオ・メンコーニ(Alessio Menconi)
ビリー・コブハム先輩のシゴキに堪え抜く新入部員、じゃなくて、イタリアのギタリストらしいです。
フリー・ジャム・セッションじゃありません。徹頭徹尾「Giant Steps」です。ジャズミュージシャンのプロ試験的な曲なんで、この変態的難曲でアドリブができて当たり前になるまで練習するというのがジャズ道なわけですが、あのコード進行の中にこれだけポンポンといろんなものを詰め込んでみせられるのはすごいです。
カート・ローゼンヴィンケル(Kurt Rosenwinkel)
知名度じゃピカイチでしょう。まさに王道です。
ジェシ・ヴァン・ルーラー(Jesse van Ruller)
オランダの人。なんかの登竜門的コンテストで優勝したそうで、そのときの審査員がジョンスコとメセニーだったとか。
オートワウかけてソロとったりするんですが、YouTubeでみつからない…。
アダム・ロジャース(Adam Rogers)
ご覧のとおり、故マイケル・ブレッカーのサイドも務めてた人。
逆アングルピッキングでバリバリ攻める感が圧巻。
ペドロ・シモン(Pedro Simão)
ブラジルの方です。御大ジョージ・ベンソンの直弟子。うらやましい。
クロマチックを逆アングルで高速ピッキングするあたりはまさにベンソン直伝!メセニー風フレーズも得意なようです。こういう人って、「らしさ」をすごい研究してるから、本家をコピーするよりこっちをコピーする方が勉強になったり…。「ダンカン、バカヤロー」とか「あんちゅわーん」と同じ理屈です。
グスタフ・ラングレン(Gustav Lundgren)
その御大に、「兄ちゃんなかなかやるねぇ」と声をかけられてるのが、スウェーデン出身で左利きのこの人。うらやましい。
アウトのセンスやスピード感がすごいです。最初みたときは鳥肌立った。
あと、南アジア系のギタリストを一人紹介したかったんですが、どこにも記録してなかった…
こうしてみると、御三家が全員アメリカ人なのに対し、今回紹介した中では、アメリカ人はわずか2人(カート・ローゼンヴィンケルとアダム・ロジャース)という状況。まさに群雄割拠ですな。