12月3日(月)、12月としては珍しくあたたかな陽気の中、弘前市にある津軽焼の津軽千代造窯様のサイト制作の一環で、撮影の為窯元に行ってきました。

 

津軽焼というのは、津軽一帯で焼かれている焼物を意味します。

津軽焼と一言にいいましても、窯元によってその作品の特徴に違いがありますので、どのようなものが津軽焼であるという明確な定義はないということでした。

今回サイト制作のご依頼を受けました千代造窯様は、【なまこ釉】というのが特徴で、なまこの独特な風貌は、ご存知の方も多いかと思います。その模様が食用の『なまこ』のように見えることがその由来です。そう。あのコリコリした『なまこ』です。『なまこ』は津軽の酒飲みには欠かせない酒の肴ですね。余談ですが、うちの高橋永は日本酒を飲むときに、千代造窯さんの制作したぐい吞みを使っています。ろくろで作られたその作品はとても薄くて口に当てて飲みやすいことと、非常に軽いそうです。使っているうちにますます手に馴染んできますよ、ということなのでこれからも大事に割らないように使ってもらおうと思っています。うーん、こうして書いているうちに『なまこ』を食べながら日本酒が飲みたくなってきました!

 

さて、話を戻して。

現在青森県弘前市在住のこの千代造窯の窯元である小山陽久氏のもとには、佐藤学氏がその伝統を継ぐお弟子さんとして活躍しています。弘前の伝統工芸に新しい風を注ぎ込む若手工芸家として注目され活躍の幅を広げています。彼の創作の様子をパシャリ。

機械のように精密に作られることのない陶芸。土の柔らかさや気温、湿度によっても変化し、またロクロに置くほんの少しの場所の違いによっても形は大きく影響します。見ているとよどみなく滑らかにそしてリズムカルに作られていく作品ですが、実際はとても難しいのでしょう。私だったら何十年たっても辿りつけなそうな職人芸。

また撮影取材をしている時に佐藤さんがおっしゃっていたことが大変興味深く心を打ちました。

『こういうのを作ろうと思うとストレスになる。どういうものが出来るか楽しめる人のほうが陶芸も長続きします。』

なるほど。私も子をもつ親として、その言葉は子育てと重ね合わされ、大変納得のいく言葉でした。自分の理想通りにすることが目的ではなく、その土のもつ特徴や硬さ、手の感触、火の強さや温度、すべての因果関係の結果で出来る唯一の作品。子育ての参考にしよう。うんうん。

サイトの完成は来年以降になりますが、今回撮影した様子を含め、津軽焼、特に千代造窯様独自のなまこ釉の素晴らしさをサイトでお伝えできればと思っていますので、その時はぜひご覧になってくださいね。

 

最後にお知らせです。

弘前を代表する若手工芸家の方々が、12/7(金)19:00~東京ミッドタウンガレリアで開催される『弘前の若手職人によるとトークイベント』に出演されます。

トークイベントには、今回ブログでご紹介した津軽焼の佐藤氏の他にも、わんどのwebでサイト制作を手掛けた二唐刃物の吉澤氏津軽塗の小林氏が、そして女性に大人気のこぎん刺しの若手エース木村氏が参加されるとことです。青森の伝統工芸の素晴らしさを全国に伝えていただきます。東京近辺でお立ちより出来る方は是非足をお運び、そして地元が青森という方はなつかしい津軽弁のイントネーションを聴きにいらしてみてはいかがでしょう。

【THE COVER NIPPON】東京ミッドタウンガレリア3F

・弘前展(12/1〜12/31)

・弘前の若手職人によるトークイベントHIROSAKI CRAFTSMEN(12/7−19:00〜20:30)